【レポート】Amazing Friday「デジタルがもたらす取引モデルの変革 ~ 貨幣経済の将来に関する考察」

冒頭にAmazonが取り組むレジレス店舗の動画と、日本のコンビニが取り組む無人レジ店舗の動画がスクリーンに投影されました。両者のサービスの違いは何でしょうか。目的や技術などさまざまな違いがありますが、Amazon店舗が完全キャッシュレスになっている点も違いの1つです。この「キャッシュレス」をキーワードにご講演が始まります。 キャッシュレス大国と呼ばれる中国、その変革を牽引している企業の1つがAlibabaです。Alibabaは4.5億人とも言われる顧客のデータを分析し、2015年に顧客ごとの信用をスコア化したジーマクレジット(芝麻信用)というサービスを開始しました。この信用スコアの登場が中国の経済、そして社会を大きく変化させています。 信用スコアが高い消費者は、優先的に融資を受けたり、宿泊予約したり、子供の進学先を選択したりすることができます。従来は貨幣を持っていること=信用でしたが、現在は貨幣と信用が独立して動き始めています。 貨幣経済は「あなたがいくら持っているか(What you have)」という取引モデルです。多くの貨幣を持っている人が多くの財・サービスを購入することができました。しかし取引がデジタル化することによって顧客の情報を把握することができるようになり「あなたが誰なのか(Who you are)」という取引モデルが可能になりました。高い信用を持っている人が多くの価値と経験を得ることができます。 そして貨幣経済は誰が貨幣を持っているかを問わない匿名経済でしたが、取引のデジタル化により、誰が取引の対象であるかを問う顕名経済に変わっています。これがいま起きている取引モデルの変革であると中川様は指摘します。 実際に顕名経済モデルの事例が紹介されます。フロリダ・ウォルトディズニーワールドの「Magic Band」、スタートトゥデイ社の「ZOZOSUIT」、シェアリングサイクルの「Mobike」、運転操作によって保険料が変わる「PHYD自動車保険」など、急成長しているサービスの多くが個人を特定し、様々な情報を取得・分析してユーザー経験を提供する取引モデルになっています。 そして変化の時代を勝ち抜くデジタル戦略を立てるためには、貨幣経済に起きている4つの変化を捉えることが重要だと中川様が説かれます。それは仮想通貨(暗号通貨)、キャッシュレス、デジタル法定通貨、そして取引のデジタル化です。4つの変化が導く「つながりの経済」を見据えながら将来を考えることが鍵になる、という提言で講演が締めくくられました。

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