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【横塚裕志コラム】「研修」そのもののイノベーション(DX)

VUCAの時代におけるビジネスパーソンへの研修はどうあるべきなのでしょうか。従来の企業内研修のままでは、これも時代遅れになりつつあるのが日本の実情かもしれません。世界で始まっているイノベーションについて概観します。

1.研修の目的を変革する

従来は「イベント型研修」で、新人研修から始まり、5年目研修、10年目研修、課長研修など、終身雇用に合わせた「長期育成型」の一律研修が行われてきた。 しかし、変化が激しいVUCAの時代に、この研修では「会社の競争力強化」につながらないことがはっきりしてきた。VUCA時代の新しい研修は、ビジネス戦略に直結した能力を、すぐに獲得できる効果的な研修でなければならない。そのためには、次の3つを実現する必要がある。

  1. 社員のパフォーマンスの向上
  2. イノベーションを創造できる社員の育成
  3. 業務の変化が速いので、社員のスピーディなリスキリング

2.一律ではなく個人別に研修する

研修、あるいは学びの本来的な姿は、個人別に効果的なコーチングをすることだ。従来の教室型の一律研修ではなかなか個人別には目が届かない欠点があった。個人の理解の状況に合わせて、アドバイスしたり、また個人別の習熟度に合わせたコンテンツを提供したりすることで、大きな成果を速く実現する。 そのためには、個人別の習熟度を正確に把握することが重要。数値的な達成度から、言語的な理解度など、幅広く個人別に状況を把握して効果的なコーチングにつなげることが必要だ。

3.研修の内容を都度改善するスキーム

個人別の習熟度を測定することが可能になると、研修の内容の課題が浮き彫りになる。研修前、研修当日、研修後のプログラムについて、都度改善していくことが可能になる。

4.学習者のために学びやすい内容にする

学習者にとって、興味をもって取り組みやすいものになっているか。自分の状況を確認しながら納得感を持って進んでいけるか。学習者の経験をより良いものにしていくことが求められる。「ゲーミフィケーション」の考え方や、小分けにすることで学びやすいようにする「マイクロラーニング」の考え方などを採用して、忙しい中での学びを促進する方法論も重要になってくる。

5.講師・先生の役割を変革する

「教壇の賢人」から「そばで応援する人」に変革する。「指導者」から「メンター」に変革する。学習者が自分で気づく・考える・変容することをサポートするのが講師・先生の役割になるので、応援しながら時には激励するコーチにならなくてはならない。

6.デジタル技術を活用して新しい研修を構築する

以上の変革を実現するためには、従来のアナログ戦法では難しい。オンライン技術やデジタル機器を活用することで、新しい学習環境を開発していくことができる。従来の研修内容のまま、手法をオンラインやデジタル機器に変えただけでは意味がない。デジタルで研修の内容を変革することが目的だ。くれぐれも、紙をデジタルに変えただけというデジタル化で満足することないように気を付けなければならない。

7.常に「学ぶ」文化を企業内に根付かせる

「研修」という舞台を、点で切れたイベント型の対応から、個人を線でとらえた人財育成型プラットフォームに変革していくことが重要となる。これからの時代は、最大の競争力の源泉は人財であり、経営戦略に同期させた人財育成戦略を実行する基盤が必要である。そして、その基盤の上で、皆で学びあう文化を醸成していくことがなにより大事だ。

8.DBICでのチャレンジ

「DX QUEST」から本格的に研修のDXに取り組んでいく。「UMU」というラーニングプラットフォームを使って、人財育成の基盤を模索していく予定。

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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