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【横塚裕志コラム】社員の幸福度を上げるDX

DXのテーマとして、とても身近な課題が「社員の幸福度を上げる」ことではないだろうか。業種や規模に関係なく、すべての企業で取り組むことができる。ぜひ、多くの企業でご検討いただきたい。

社員の幸福度を上げる目標として、世界幸福度ランキング(2021)の2位であるデンマークと、56位の日本とを2つの指標で比較してみよう。

OECD調査(2020)
 平均年収:    デンマーク 58,430ドル(約640万円)
          日本 38,515ドル(約420万円)
 平均労働時間:  デンマーク 1,346時間
          日本 1,598時間

悲しくなるほどの差がついている。もちろん、幸福度は年収や労働時間だけで語ることはできない。しかし、まずは、日本が世界に比較して劣化している状態を直視したうえで、正しい課題認識を持つことが重要と考える。日本の中だけを見回していてはゆでガエルになりかねない。

さて、この指標は国単位のマクロの数字であるから、各企業別に事情は少し異なる可能性もある。また、日本のデフレ経済の影響を受けている要素もあり、一企業だけの努力で改善していくことが難しいという事情もある。
一方で、世界標準とこれだけの差がつくと世界クラスの人財が日本企業を敬遠するリスクも想定されるし、20年前から日本の全産業で、ROEの水準が世界に比較してかなり低い状態を放置してきた経営の責任もある(日本6%、世界15~20%)。
従って、各企業が大きな課題としてこの問題をとらえることは理不尽とは思わない。

では、キャッチアップ策を具体的に考えてみよう。
給与は50%増を実現する必要があるので、5年でキャッチアップしようとすると、毎年10%ずつのアップが必要となる。また、労働時間は84%に削減する必要があるので、毎年3%ずつ削減していくことが必要となる。これは、相当のイノベーションを実現しないと難しい課題だということがわかる。日本が30年間沈滞していた課題の深さがわかる。

まずは、20世紀から続けている日本の経営常識は現在では世界に通用しない、ということを認識することから始めなければならないだろう。「JAPAN as NO.1」と称された1980年代の経営、つまり、大量生産の製造業モデルの経営ではすでに立ち行かないことを理解する必要がある。
そして、過去の成功体験をすべて捨て去ったうえで、経営の考え方、企業カルチャーのあり方、組織構造・権限・意思決定の方式、人事制度、ビジネスモデル、ビジネスプロセス、個人のマインド・能力、デジタルの活用などなど、21世紀型への抜本的な転換・変革が必要だろう。
この彼我の差は、日本におけるもっとも大きな「社会課題」だと定義することもできる。汗をかきながら家族を犠牲にして必死に働いているのに、年間5週間の休暇を取得し、午後4時には帰宅するような国と比較して給与が2/3では問題が多すぎる。
DXで社会課題解決と言うなら、ぜひこのテーマに取り組んでいくべきと考える。

DXは、エベレストに登頂するような過酷な冒険だ。なぜ、デンマークがそこまで進化したのか。日本は、もっともっと謙虚に「学ぶ」姿勢が必要だ。平均年収は韓国の41,960ドル(約460万円)にも大きく後れを取っている。過去の栄光を捨てて、ギラギラとした目で、必死に努力しないとますます世界から遅れていくことを認識したい。

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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