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【横塚裕志コラム】組織改革へのアプローチ

縦割りのサイロ型組織の弊害については、多くの議論がなされている。私自身、新しい企画を提案した時には、必ずといっていいほど、他の部門から反対されることを何度も経験した。反対の理由は、その当該組織から見て損になるというものだった。「組織を守ること」が与えられた職務だと考える社員がほとんどで、組織と組織のぶつかり合いばかりをやってきたようにも思える。
これを、全体最適の観点で、関係者が心を開いて対話するように仕事をしていたら、生産性は何倍にも上がっていただろうと思われる。
これ以外の動機も多く存在すると思うが、組織改革を実行したいと考えるのは、ある意味当然だと思われる。では、どのように進めればいいのだろうか。

企業それぞれの事情やトップの考え方によって、その改革方法は異なるものになると思われるが、一つのヒントとして、IMDのマイケル・ウェイド教授の研究を著書「DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる」からご紹介したい。

「組織改革こそが変革のカギだ、という考え方はまちがっている。」
「既存企業の組織構造は、古くて大きい都市ロンドンに似ている。これを、現代の環境に合わせた構造に修繕することは、時間も費用もかかりすぎる。そして、組織だけを変革しても得るものは少ない。」
「変革を実行するときに、社内の多くの機能を楽器のようにオーケストレーションする形で進めることを推奨している。『楽器』は『部門』とイコールではない。『部門』を巻き込むのではなく、『楽器』という機能(人・データ・インフラ)を調達するのだ。」
という主張をしている。

つまり、組織を大掛かりに再編しようとしても難しいうえに、結果として得るものが少ない。だから、DXプロジェクトで必要とする人を、社内の中から探し出して、部門の参加を待つのではなく、楽器を演奏する人をバーチャルなチームとしてオーケストレーションして進める方法がいい、との主張と読める。
DXの全体戦略を担う少数のチームが指揮を執り、プロジェクトのコミットをトップから獲得する。そして、いくつかのチームに機能分けしてデザインし(弦、金管、木管のごとく)、そのチームが果たすべき機能を実行できる能力を持つ人を探して構成し、チームメンバーは元の部門とは関係なく、チームのゴール、プロジェクトのゴールに向けて必要な機能を実行していく。そのいくつかのチームをDXチームがオーケストレーションする、という形態と読める。
このアプローチなら、「楽器が弾ける人」を育成したり探し出したりするだけでDXプロジェクトを推進できる。大掛かりな組織改革より速く実行できるような気がする。まだまだ、この辺りはローザンヌに行ってウェイド教授と議論する必要があるが、大きなヒントだと感じる。「DX実行戦略」を何度か読み直しているが、「オーケストレーションとは多くの『部門』を指揮することだ」と理解していたが、よく読んでみるとそうではなかった。あらためて、自分の認知バイアスの大きさに驚く。

DXはプロジェクトであるから、プロジェクトを演奏するオーケストレーションを構築すればいい。それを繰り返していくことで、組織文化を変えることにつながっていくかもしれない。こういうアプローチも選択肢の一つだと思われる。

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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