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【横塚裕志コラム】「信頼経営」を実現する新しい組織の考え方

低迷する日本企業が再び復活するためにはどうしたらいいのか、という問いの答えを探すため、DBICでは着実に成果を上げている北欧諸国の戦略を調査した。この調査の中で、生産性向上の最大の施策は「信頼経営」にあるとの結論に至った。
経営と社員とが「信頼」で結ばれることで、組織をフラットに変革し徹底した権限委譲を進めることができる。社員は一定の権限が与えられ、信頼という心理的安全性が保たれている中で、自ら意思決定を行うことができるので、思う存分能力を発揮することができ、個人と組織の両面で生産性が大きく向上する。これが「信頼経営」の肝だが、日本で現状行われているピラミッド型組織での上意下達・マイクロ管理という方法とは180度異なる考え方である。両者を比較してみた。

日本のピラミッド型組織は、20世紀までの時代には適切であったのかもしれないが、以下の理由で21世紀には課題が多い。

  1. お客様の価値を創造していくためには、お客様と接している多くの現場での感覚が重要で、中央で一律決めた施策・予算では実現できない。
  2. VUCA時代の価値創造は、試行とフィードバックによる改善の繰り返しを行うことができる組織が必要で、上意下達型では実現できない。
  3. 社員という貴重で限りのある資源を十二分に機能させるためには、社員の自主性・社員全員が意思決定できる権限体系・個人別の能力育成の仕組みなどを大事にする組織運営が求められる。
  4. ピラミッド型組織では、同僚との間で選抜・勝ち組負け組といった上下関係が発生し、一部の管理者のみが意思決定する体制となりやすく、多くの社員がその実力を発揮できる余地が失われている。

そのような会社が日本にあるのだろうか。
何年か前の情報だが、私が実際に出向いた会社の中で、少しこのような特徴を持つ会社があったので紹介してみたいと思う。
まず、南九州にある24時間営業の大型スーパー。ここでは、担当者すべてが、お客様が欲しいという商品は何でも仕入れていい、という権限を持っていた。なので、生鮮食品からすぐに乗って帰れる軽トラ、更にはなんと日章旗の金色の球体まで売っている。お店が体育館よりも広いのだが、従業員の方が店中を走り回ってお客様ご依頼の商品を探している姿や、お客様からのご相談に真剣に向き合っている表情がとても生き生きと溌溂としているのを拝見して、新鮮な感動を覚えた。商品別の売上げ管理とか、深夜の来客数管理とか、「管理」は一切しないという経営方針(なんでもいつでもどうぞ、という価値を作りたいという経営)に驚いた。
岐阜には報告・連絡・相談禁止、残業禁止という製造業の会社があった。「常に考える」が社是で、自分で判断して決めなさい、残業するほど受注するな、という経営方針であった。
広島本社で全国展開しているメガネチェーンでは、どの店舗の従業員でも、何か買いたいとかしたいことがあれば、WEBに書き込み、2日以内に別の従業員からコメントがなければ自由にやっていい、というルールがあった。

いずれの例も断片的で小規模な事例だが、経営と社員との「信頼」が厚く、社内の管理よりお客様への価値創造に重きを置いている文化を感じる。
一方で大企業の多くは、スタンプラリーの稟議、精緻な分厚い報告資料と報告会議、という内向きな文化に陥っている。なぜなのだろうか。

※DBICでは12月16日にVision Paper 2「Small Smart Nationsから学ぶ信頼経営への進化」を発刊しました。このコラムにも通じる内容ですので是非ご一読ください!
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設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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