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【横塚裕志コラム】世界レベルを 直に 学ぼう

IMDがリーダーの特性を調査したレポートによれば、成功するリーダーの重要な特性の一つが「謙虚に学ぶ」ことだ。変化の激しい時代では、自分を過信することなく自分が知っていることは少ないと認知し、常に他者から学ぶ姿勢が大事だとしている。そして、「他者から学ぶ」にあたっては、私の経験から「世界レベルを直に学ぶこと」が重要だ。

「日本はもはや先進国ではない」ということはみな理解している。だから、日本のレベルは世界レベルから見て低いというのが事実だ。だから、私たちは日本のレベルを学んで満足していてはいけない。世界レベルを学ばなければ学んだことにならないのだ。例えば、DXについて学ぶときに、日本のITベンダーや外資系のコンサル会社から学ぶことは大事なことだが、それだけでは世界レベルを学んだことにはならない。世界のレベルはもっともっと高いところにあると認識し、世界レベルの本物を学ばないことには、トランスフォーメーションの意味さえ理解できない。
スポーツでも、芸術でも、世界レベルで学んでいる人はレベルが高い。ビジネスも同様だ。

そして、「直に」に接触することで「学び」が成立することも認識しておくべき重要事項だ。例えば、本を読むということも学びの一つの手段だが、「知る」ことはできても身につくところまではいかない。それは、スポーツや芸術を見れば明らかだ。ビジネス分野も同様で、「直に」接触することで体や本能が震え、学びとなる。私の経験でも、IMDのマイケル・ウェイド教授の赤い本を3回読むより、本人の講義を直接受けることの方が、体の反応は100倍違う。学びたい会社があれば、その会社に直接行って議論することが大事だし、学びたい事象があればそこへ直に行って体験することが学びになる。
ロンドン大学でサイバーセキュリティの専門家の話を聞いて、日本のレベルは小学生レベルと肌で実感できた。ウクライナでアジャイル開発の現場を実際に見たら、一人ひとりのSEの専門性の高さに驚き、SEがユーザーに指示を出しながらビジネスを創造している姿に腰を抜かした。ニューヨークでクレディ・スイスのCIOと話したとき、「ニューヨークの企画チームとインドの開発チームとブラジルのテストチームの全員が今日何をタスクとして実施しているかを全部私は理解している。そして1か月後、3か月後の状況を予測している。それができて初めて責任ある判断ができる。」と聞いて、自分のレベルの低さを恥じた。
世界レベルには本物がある。これを見ないで何を語るのか、ということだ。

日本企業には変な癖がある。ちょっと専門性に近いことになると、外部に委託してしまう癖だ。広報は広告会社にお願いし、人事制度は人事系のコンサル会社に丸投げし、デジタルはコンサルやIT会社に提案を求める。
この変化の激しい時代に、そして日本が遅れていることがはっきりしているときに、日本の専門会社に依存することで正しい経営ができるのだろうか。 また、企業が独自性を発揮せずに、専門会社が日本中の企業を同じように処理してしまうことでいいのだろうか。そんな時代は終焉を迎えているのではないだろうか。
企業の社員自身が、「自社」の「パーパス」を実現するという独自の熱量を持って、世界レベルを直に学び、真に自社の発展に資する独自の企画を実現する時代になっているのではないだろうか。
デジタルによって、すべての専門性が内製化できる時代になったと考えてみてはどうだろうか。
すべては、世界レベルを「学ぶ」ことから始まる。

デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)が活動を続ける理由

設立エピソード

2014年、世界で起きていることを肌感覚で確かめるため、半年をかけて世界を回った。そこで感じた危機感を日本企業に正しく伝え、行動を促すための研究会を発足するために奔走。26社の名だたる企業と世界有数の大学と連携し、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の立ち上げとともに我々のイノベーションジャーニーが始まった。

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