【レポート】企業変革実践シリーズ第23回「HAPPY FIRST ACHIEVEMENTひとりひとりの幸せを追い求める先に成果がある~信頼経営に必要なものは何か~」

2022年103()DBICでは企業変革実践シリーズ第23回として「HAPPY FIRST ACHIEVEMENT ひとりひとりの幸せを追い求める先に成果がある~信頼経営に必要なものは何か~」をオンラインで開催しました。講師は、株式会社Brilliant Future Consulting代表の石原孝尚さん。石原さんは、女子サッカーINAC神戸の監督として澤穂希選手や川澄奈穂美選手などを率い、チームを史上初の四冠に導いた立役者。今回は、サッカーのチームづくりの極意をはじめ、石原さんならではのリーダー論について、さらには信頼経営につながる様々なお話しを伺いました。

石原さんのキャリアのスタートは「高校の教員」。高校や大学の先生として教壇に立ちながらサッカーのコーチを兼務、その後、女子サッカーの世界に入り、さらに米国や豪州でのコーチ経験を経て、現在はプロフットボールコーチのほか企業向けのチームメイキングアドバイザーという仕事に注力しているとのこと。そうした経歴を持つ石原さんが最も大切にしているのが「自分ごとにする」という言葉だそうです。「プロ選手経験のない、サッカー部のコーチ、どこにでもいる体育の先生がどうして澤穂希選手や川澄奈緒美選手のような一流サッカー選手を指導することができたのか。リーダーとして組織を束ね、結果を出すことができたのか」という問いかけを度々されるそうですが、石原さんは「一人ひとりの幸せを追い求める先に最高の結果がある、と信じて日々過ごしてきた成果」だと言い切ります。同時に組織は"強み"を叶える場であり、仲間とともに「自分らしさ」を叶える場でもあると信じて疑わないそうです。そうして創り上げた組織で「自分らしくプレーする選手を見ることが僕の幸せでした」と満面の笑顔で語ります。

サッカーの監督として「選手を幸せにしたい」と本心からそう願った石原さんが辿り着いたのは「サッカーで集まった仲間はサッカーでしか幸せにできない」というもの。また、リーダーとは一言でいえば「チーム力」を発揮させる人だと断言します。そのスタイルには、「引っ張るリーダー」「背中を見せるリーダー」「自分以外のリーダーを創り出すリーダー」「メンバーの力を引き出すリーダー」など様々なものがあっても良い。これからは一人ひとりがリーダーになる時代であり、リーダーとは周りの仲間を「今も未来も」幸せにする人、そのために「チーム(仲間・つながり・場)」を創れる人のことだと解説します。澤選手は2011年のワールドカップの時にキャプテンとして「苦しい時は私の背中を見て」と後輩を鼓舞していたそうです。「澤はみんなとコミュニケーションを取るのが苦手で、みんなの方を向いて、みんなの話しを聞いてフォローすることが不得手だった」のが"澤流の背中を見て"だったとのこと。次のキャプテンの宮間あや選手はその逆で、みんなと積極的にコミュニケーションし、練習も最初から最後まで付き合うタイプだったそうです。

モチベーションのテーマで石原さんは"馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない"ということわざを引き出し、本人にその気がないのに周りの人が気を揉んだり強制しても意味がない。やる気を出させる環境づくりにリーダーはまい進すべきだと説きます。前橋育英高校や帝京高校など高校サッカーのコーチを6年ほど経験した石原さんにとって「負けた悔しさより、このメンバーともう戦えないことの方が悲しい」と訴えた高校生の言葉が印象深いようです。自分のやりがいを持つことも大切だが、働きがいには仲間が必要。その仲間と一緒に何かをやり遂げたいと思えることがもっと大事なことと力説します。
選手とコミュニケーションを取る時に気を付けているのは「キャッチボールのように相手が捕りやすい球を投げてあげること。話すことが苦手な相手なら優しく聴いてあげたらいいし、うまく説明できない相手なら質問してあげればいい。また、困っている人には正論を言わないことも大切」だと言います。一方、選手の個性にもよるが、その人の「言葉」を信用しすぎないこと。うまく言葉で説明できない人も少なくないからというのがその理由。また、人は自分の話しを真剣に聞いてくれる人を信じる。コミュニケーションで気を付けたいことは、最後までしっかりと聞いてあげること。作業をしながら聞いたり、話しの途中で"切り返したり"することはご法度だと肝に銘じているそうです。

石原さんは、トレーニングメニューを考えることもリーダーの重要な仕事だと強調します。「例えば、トマトが身体に良いことはみんな知っているけれど、同じレシピで毎日出されたらどうですか。ある時はサラダ、ある時はパスタにしたり、スープにしたり、手を変え品を変え、変化を持たせることが大事」。それ以外では、勝った試合で活躍した11人をそのまま次の試合に出場させるのではなく、1人若手を入れるとか、戦略を変えるとか、試合ごとにいろいろな勝ち方を模索することが大切。スポーツでは勝っている状況と負け続けている状況では使いたい選手も変わる。その意味では「適時、適材、適所」を考慮すべきだ。練習も同じで、選手が疲れている時と元気な時ではメニューを変えているとのことです。

選手に対するアドバイスでは「自分がしてあげられることと一緒にギフトする」そうです。例えば、「いきなり富士山に登れと言っても無理なわけだから、5合目までは車で一緒に行って、そこからは自力で登りなさい」というスタイルを取り、その人が今どのような状況にいるのかを考えた上でアドバイスする。まさに「適時、適材、適所」を考えた指導方法を模索している。選手の側からしても、「こんな環境ではうまくプレーできませんとか、あのリーダーの下ではうまくなれません」と言う権利はあるが、「まずい料理が出ても食卓を楽しくすることはできるだろう。選手もリーダーのせいばかりにするのではなく、嫌いな料理があれば交換し合うなり、料理がまずくても皆で工夫して食卓を明るくすることができるはず」と苦笑する。実際、選手には「たとえ扉が開かなくても扉の前で歌って踊れ!」と鼓舞していたと言います。扉の前に佇んでいるだけでは何も起こらない。何かアクションを起こせば何かが起こるかも知れないというわけです。
スポーツをしていれば、次から次に悩み事が出現する。そんな時、石原さんは「悩みがあるのはそこにあなたの強みがあるからだ」とアドバイスします。悩んでいるのは、なんとかしたいと思っているから。そこに自分の強みが隠れていることを忘れないで欲しいと言います。
最後にワールドカップ当時、澤選手に勇気づけられた「勝てる自信というよりも、最後まであきらめない自信がある。どんな状況でも自分はやりきれると信じている」という言葉を披露して頂きました。

【スピーカー紹介】
石原孝尚(いしはらたかよし)氏
株式会社Brilliant Future Consulting代表
サッカーコーチ・グローバルディレクター・自治体スポーツ振興アドバイザー・サッカー解説・企業研修講師
2012年INAC神戸レオネッサのヘッドコーチ兼U-18監督、2013年監督に就任。国内大会の三冠独占(リーグ・リーグ杯・皇后杯)に加えて、国際女子サッカークラブ選手権を制し、四冠を達成した。2014年米プロリーグ・NWSLのスカイ・ブルーFCのアシスタントコーチ。2016年浦和レッドダイヤモンズ・レディースコーチ、2017年監督。201811月から豪州女子プロリーグMelbourne City FC Ladiesコーチ。サッカーだけでなく、IT、経済、女性の社会活躍などを世界中で学び、発信を続けている。
https://happyfirst.co.jp/

他のDBIC活動

他のDBICコラム

他のDBICケーススタディ

一覧へ戻る

一覧へ戻る

一覧へ戻る

このお知らせをシェアする