【横塚裕志コラム】社員のモチベーション量のΣを最大化する

「脱炭素が世界の流れだから、脱炭素に向けた新技術の開発に注力することで、間違いなくビジネスを大きく拡大できる。社会課題解決のために頑張ろう。」という宣言には私は違和感を覚えてしまう。それが今回のコラムのテーマだ。
「マイナポイントを25,000円分付与するからマイナンバーカードを取得しよう」というキャンペーンも嫌いだ。その理由は両者似たようなところにあると思われる。

1.違和感の分析
次の要因にあると思う。
①言っている人が上で、下に無知な人がいるので教えてやる、という感じで偉そうな態度が気に入らない。
②ビジネスの拡大、マイナンバーカードの拡大は、言っている人のキャリアアップのために言っている感じがして、協力する気になれない。
③企業とか国を「俺がコントロールしてやるぞ」という脂ぎったおじさんのイメージがして嫌悪感を抱く。

以上が私の違和感だ。さらに違和感を深く掘っていきたい。

2.なぜ、いやなのか 社員や国民の目線で感じる違和感がある。
①確かに、企業には役職の上下関係が決められているし、国は行政がお上として仕切っているが、上から一方的に指示されたくない。
②その指示が目指す「目的」が抽象的で、自分たちにとっての良さが感じられない。
③指示があったかくない、冷たい感じがする。

3.上意下達から共感の経営へ
DBICのVISION PAPER2での北欧からの学び、あるいは「学習する組織」「Management 3.0」などの書籍からの学びを総合すると、これからの経営は、「管理」というエンジンではなく、企業の社員や国民の「共感」をエンジンとする経営に変えていく方が効果的という見解が優っているように思われる。
前の会社で、アジャイル方式で仕事をするチームのメンバーが、とっても楽しそうに素敵な笑顔で仕事をしていたことを鮮烈に覚えている。チーム内はビジネスの人もシステムの人もフラットな関係で対話できるし、自由にアイデアを語り合えるし、お客様の反応も身近に感じるし、チームに一定の権限があるし、笑顔にならない理由がない。そして、あの笑顔なら、きっと創造性も高いし、生産性も高いと容易に想像できる。
経営のコンセプトを、「上から管理する」から「社員のモチベーション量のΣ(総和)を最大化する」に大きく舵を切る時が来ていると考える。 具体的には、何を変えるべきなのだろうか。いくつかあるように思う。
①経営陣が自ら謙虚に学び、自身の想いとして経営方針にコミットする。
②社員をリスペクトして、進んで挑戦できる雰囲気・土壌に耕し直す。
③変革が進まない理由は経営陣の問題と認識して、経営陣自らが行動を変革する。

では、先ほどの脱炭素の件、どうすれば共感の経営になるだろうか。 自分が社員だったら、経営が次のように考えてくれたら一緒にやりたいという気分になるような気がする。
「脱炭素は、人類の将来にとって必須の取り組みと考える。だから、経営陣も社員も一緒に脱炭素の世界の一流企業に学ぼうと思う。まずは経営陣の学びを毎月全員に報告する。そして、当社の新サービスを開発するチームと既存のサービスをカーボンニュートラルにするチームを組成するので専任メンバーを募集する。それぞれのチームにまずは10億ずつ予算枠を持ってもらう。各チームが計画をつくり、取り組み方法を考えてほしい。チームに権限を委譲するので、稟議や承認プロセスは不要で自由。進捗管理もしない。ただし、世界で通用するレベルの企画案を1年以内に作ることを目指す。経営陣のサポートが必要なことがあれば一緒に考える。」

経営陣も謙虚に学ぶ姿勢、チームに任せる姿勢、管理しない姿勢、を取り込んだ案を作成してみたが、どうだろうか。未知の取り組みはやってみないとわからない。きっと、やりながら社員と経営陣が柔軟に相談しながら修正を続ける旅を始めることになるのだろう。正解なんて誰もわからないが、楽しく正解を求めていくプロセスはつくれるのではないだろうか。

他のDBIC活動

他のDBICコラム

他のDBICケーススタディ

一覧へ戻る

一覧へ戻る

一覧へ戻る

このお知らせをシェアする