【レポート】【IMD・IT協会・DBIC 共催】IMDセミナー「何故、大手企業のAI活用は上手く行かないのか?」

(文責:DBICディレクター 渋谷 健)

DBICのパートナーであり、世界最高水準の経営幹部教育プログラムを提供しているスイス・IMDによるセミナーを、IT協会、DBICの3社共催にて2023年3月28日に開催しました。今回のテーマは「何故、大手企業のAI活用は上手く行かないのか?」。講師にIMD教授で、AIとアナリティクス、マーケティング戦略を専門とするAmit Joshi 氏を迎え、IMD北東アジア代表 高津尚志氏のコーディネートにより、参加者も交えたインタラクティブな2時間のセッションを実施しています。今回のレポートではDBICディレクターとしての気づきを共有いたします。なお、当日の様子は動画をご参照ください。

 

今回のセミナーの背景にはChatGPTに代表されるAIの台頭があります。一方でその活用が大企業を中心に実験程度で留まり、ビジネスインパクトにつなげられていないケースが多いことがあげられます。Joshi教授とのセッションには、この状況に向き合うために必要なヒントが詰められた時間となりました。

まず気付きとしてあったことは組織としての構造的な問題です。AIを活用するためにはデータが必要であり、その共有が不可欠です。しかしながら縦割り構造では小さな実験しかできません。いかに横串を通してデータを集約し、ビジネスの現場を支えられる状態=センター・オブ・エクセレンス(CoE)を築くが重要になります。さらには必要性に応じて、CoE同士をつないだネットワークを形成し、相互補完できる状態にまで発展させることも求められていきます。つまり、AI活用のためには組織の問題に向き合わなければならないのです。

ではAIを活用し得る組織を築いていくためには何が必要でしょうか。Joshi教授のセッションにはそのための気づきも詰まっていました。まず一つは、やはり真摯に学ぶこと。現場はAIの基礎、データの価値を知り、簡単でもデータ分析ができるようになることが必要です。一方でAIを専門で扱う担当者も現場のビジネスを知らないことには、どこまでいっても机上の空論になってしまうのです。そのうえで勝てる領域に焦点を当て、実現可能で、ビジネスの価値につながり、長期的な影響力につながるアクションから始めていくこと。具体的な目的・目標を共有し、実践と検証のフィードバックループを回していくことが不可欠です。つまり実践による学びの蓄積が非常に重要なのです。

全体を振り返ってみれば、AIを活用するということは、ごく当たり前に生産性の高い組織を創ることに等しいといえるのかもしれません。そしてそれはDBICが探究してきたDXの在り方につながっており、まさに学びによる変革=Learning Transformation(LX)そのものです。結局のところAI活用においても、まずは個人のUNLOCKが必要であり、組織のUNCHAINがあって、初めて事業のTRANSFORMに活かせるということなのです。DBICの立場からすれば、今回のJoshi教授のセッションはLXの重要性を再認識するとともに、IMDの知の価値を改めて実感し、多くの参加者の皆様と共有する場となりました。今後もIMDと場を設け、DBICとしても皆様の未来に貢献して参ります。ぜひご期待下さい。

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