【レポート】ビジネスモデル研究会(2018年4月期) 第2回

2018.05.10

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2018年5月9日(水)、DBIC/虎ノ門OGにてビジネスモデル研究会の第2回が開催されました。テーマは「プラットフォーム」。講師はDBIC首席研究員の小西一有です。

まずは2018年2月末の世界企業時価総額ランキングを考察します。トップ5に入るアップル、アルファベット(Google)、アマゾン、マイクロソフト、そしてテンセント(中国)がすべてプラットフォーム型ビジネスを行っています。

続いて2017年11月のユニコーン企業の時価総額ランキングをチェック。ここでも、Uber、ディディチューシン(中国の配車サービス)、シャオミなど、北米と中国のプラットフォームサービスがずらりと並びます。

インテルのプラットフォームビジネス

プラットフォーム企業の勢いを知ったところで、プラットフォーム型ビジネスが最初に研究された書籍と言われる「プラットフォーム・リーダーシップ」(日本語版は2005年に出版)を題材に、インテルのプラットフォーム戦略が解説されました。


小西一有

1991年当時はIBMが開発したPC/ATアーキテクチャに基づいてCPU、メモリー、グラフィック、HDDといった専門部品メーカーが部品を開発し、それを集めてセットメーカー(パソコンメーカー)が組み上げることでパーソナルコンピュータが製造されていました。

ところが、インテルがCPUの性能を劇的に向上させても、PC/ATアーキテクチャの規格であるISAバスの性能限界により他の部品がCPUに追いつかずパソコン全体の速度が頭打ちになってしまう状況が発生しました。困ったグラフィックやHDDの部品メーカーはVESAやEISAといった部品独自のバス規格の開発を始めてしまいます。

そこでインテルはCPUの性能を最大限に使える共通規格「PCIバス」を開発し、それに基づくチップセットの製造方法を台湾メーカーに安価に教えることを始めます。これにより高性能なマザーボードが安価に大量生産できるようになり、OSがGUI化して使いやすくなったパーソナルコンピュータの市場はWindows95で大ブレイクします。

インテルのプラットフォーム戦略のポイントは、自社が利益を生む商品をCPUに限定し、それ以外の部品メーカーやセットメーカーとは競争せずに部材の共通化と低価格化を進め、その結果として市場が拡大すれば必然的に自社製品が売れるエコシステムを構築したことです。

スマートフォンにおけるプラットフォームビジネス

プラットフォームビジネスは、先行者利益が大きなモデルです。2007年6月に登場したiOSに対してAndroidは2008年9月と後発であったため、オープンソース化やアプリ審査の簡易化など、先行するiOSに対抗する施策を打って成功しました。

また、プラットフォームビジネスを考える上で重要な「補完財」という切り口も、スマートフォンのアプリビジネスを見ると理解しやすくなります。

スマートフォン単体で見れば、ハードウェアとOSの性能、価格、デザインといった価値でしか消費者は動きません。AppleやGoogle、Androidデバイスメーカーの数は限られており、この分野でイノベーションを起こし続けることは困難です。

一方で、iOS、Android共にサードパーティ製のアプリ市場を内包しているため、イノベーティブなアプリが登場すればその分スマートフォンの需要が高まる、という関係性になります。

プラットフォームを確保していれば、自らがイノベーションを起こさなくてもプラットフォーム内のプレイヤーのひとりがイノベーションを起こすと利益が生まれる、という循環が形成されるのです。

これがエコシステムであり、そういう構造になっていないものはプラットフォームビジネスとは呼べません。例を挙げると、uberが成功をすればアップルもグーグルも儲かる構造になっているというわけです。


参加者によるワークショップです。「あなたの会社の補完財は何?」「どのように活用すれば全体の需要を押し上げますか?」という問いに対して、DBICメンバー企業自社にとっての補完財を考え、発表しました

O2Oプラットフォーム

最後は、O2O(Online to Offline)と呼ばれるプラットフォーム業態の様々な事例の紹介です。アメリカでスポーツジムのレッスン権をネットワーク化したClass Pass、飲食店と提携したデリバリー事業のPostmates、レンタルドレスのRent the Runway、イギリスのネットスーパーOcadoなどの事例を通し、ソフトウェアビジネスとは異なり、リアルな商材を扱うプラットフォームビジネスの成功例、失敗例が紹介されます。

最後に小西は「レベニューマネジメント」の重要性を訴えます。リアル資源が有限であるO2Oプラットフォームにおいては「誰から利益を得るのか」を柔軟に考える必要があるためです。

例えば前述のフードデリバリーPostmatesでは、当初サービス料として料理の注文金額の9%と、配達料として注文内容と配達員の混雑状況などで5~20ドルを課していましたが、30ドル以上の注文については、月額10ドルで使い放題というプランを開業5年後にスタートさせました。これは、注文者からではなく飲食店側からコミッションを取ることで成立したモデルです。

毎回テーマを変えて、ビジネスモデルの様々な事例を研究する本プログラム。今回もたくさんの皆様にご参加いただきました。次回は2018年5月23日(水)に開催予定です。

関連リンク

・【レポート】ビジネスモデル研究会(2018年4月期) 第1回
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