【レポート】DBICイノベーション部長会 第1回 「イノベーションは、社会課題の解決でのみ実現される」

2018.07.20

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2018年7月20日(金)、DBIC/虎ノ門OGにてDBICイノベーション部長会 第1回 「イノベーションは、社会課題の解決でのみ実現される」を開催しました。

DBICメンバー企業の中でイノベーションや新規事業を担当されている部長にお集まりいただき、旬なゲストと共にディスカッションを行う新プログラム、初回はゲスト講師に長野県立大学大室悦賀教授をお招きしました。


大室悦賀教授

冒頭、大室教授は本日のキーワードに「多様性」と「曖昧さ」を挙げます。従来型の政府、企業、NPO、地域という4つのセクターから成る構造が限界を迎え、社会に閉塞感が高まっています。そこで、国連が持続可能な社会の実現のためのテーマを17のモデルに分割して提示したSDGsは有効な指針であり、そのときに重要なのは「17項目のどれかを選ぶ」のではなく「ぜんぶをやる」というマインドセットだと大室教授は説きます。


DBIC代表横塚裕志と大室悦賀教授とのトークバトルも盛り上がりました

一方で、課題解決のために有効なオープンイノベーションも、時代の変化と共に大きく変わってきています。企業が手動で新規事業の開発を主目的としていたのは「オープンイノベーション1.0」であり、2010年頃以降に社会課題の解決を目的に市民やユーザーが主導し始めた新しいスタイルが「オープンイノベーション2.0」というわけです。同時代にSDGsの議論が始まったのも偶然ではないでしょう。

オープンイノベーション2.0の特徴は、ステークホルダーが多様になり、摩擦が生まれることです。また、その摩擦の中からこそ、新しい発想が生まれていきます。似たポジションから似たような利益を求める企業同士だけではイノベーションを起こすことは難しくなっており、その世界的な潮流から日本が取り残されていると大室教授は指摘します。

とはいえ、社会課題とイノベーションを直接的に結びつけるのは困難です。根本的な解決には、「曖昧さ」と向き合うことが不可欠です。日本のマネジメントにおいては複雑なものを単純化することがよしとされがちですが、Googleをはじめとする北米のイノベーティブな企業では、むしろ「複雑なものを複雑なまま捉える」ことの重要性に気づき、東洋思想を取り入れ始めています。東洋的な「曖昧な」アプローチにおいて本来は有利な立場にあるはずの日本企業が取り残されているのが現状です。


DBIC副代表 西野弘

顧客視点で改善を繰り返すデザイン思考はイノベーションに不可欠ですが、もうひとつ重要な視点が「芸術思考」です。芸術思考は「望むべき未来」から逆算で発想するバックキャスティングと同様に、未来を構想し、実現に向かう思考です。ホンダによるロボット「アシモ」も、手塚治虫の「鉄腕アトム」を目指してスタートしています。

デザイン思考、芸術思考、そしてロジカル思考を複合的に使い、芸術や哲学の持つ「曖昧さ」と向き合うことで、イノベーションが実現すると大室教授は解説します。なかでもデザイン思考と芸術思考を行き来できる人材(キュレーター)育成を重視し、大室教授は長野で「イノベーション・キュレーター塾」を開催しています。


ディスカッションゲストとしてご参加の前田拓生教授(高崎商科大学商学部教授)


ディスカッションタイムの様子

社会課題解決を目的としたイノベーション2.0にいては、企業もひとりのプレイヤーとしてエコシステムに参加し、たくさんの小さなチャレンジを積み重ねることが未来につながります。「部長会」の名にふさわしく、講演後のディスカッションタイムには、DBIC代表横塚裕志、そしてご参加いただいたDBICメンバーのイノベーション担当部長各位が大室悦賀教授と熱心に意見を交わしました。次回開催にご期待ください。

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