【レポート】VeriSM™:デジタル時代のサービスマネジメント

2018.10.15

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2018年10月12日(金)、DBIC Tokyoにて「VeriSM™:デジタル時代のサービスマネジメント」を開催しました。

本プログラムは、情報管理分野における資格/認定機関のリーディングカンパニーであるEXIMが2018年からスタートした新資格VeriSM™を通し、デジタル時代のための新しいサービスマーネジメントについて議論する内容でした。戦略スタッフサービスの戸田孝一郎様とEXIN JAPANの中川悦子様による講演内容を再構成してお伝えします。


戸田孝一郎様

最も重要なのはビジネススピード

戸田:デジタルトランスフォメーションにおいて最も重要なのはビジネススピードです。スピードを上げるには従来のスタティックなマネージメントでは対応できません。ではどうやってダイナミックなマネージメントをするのでしょうか?

2018年1月、トヨタは「e-Palette Concept」を発表しました。これは、トヨタが「クルマを売ること」から「移動のためのサービス提供」に業態変換するという宣言です。現時点ではモノとしてのクルマを販売していた方が圧倒的に儲かります。これをサービスに変更してしまったら、売上単価は100分の1や1000分の1に減るでしょう。これは経営者から圧倒的な危機感の表明です。

日本では2018年10月にトヨタとソフトバンクとの提携がニュースになりましたが、トヨタの北米法人は日本では新聞報道されないようなスピーディな動きをしています。世界の製造業のトレンドは完全にサブスクリプションモデルに転換していますが、日本の企業でこれを表面しているのは、私の知る限りではトヨタとコマツくらいではないでしょうか。

GAFAの強みもスピード

戸田:デジタルトランスフォメーションの成功者であるUber、Facebook、Alibaba、Airbnbのスピードはどこから来るのでしょうか? これらの企業は自社では一切「モノ」を持っていないからです。既存の製造業は、やはり自社のプロダクトに愛着があります。これが変化を妨げる大きな要因になります。

有名なコダックの失敗においても、彼らは決して破綻までの期間を無策に過ごしていたわけではありません。いくつものデジタルトランスフォメーションの取り組みをリリースしていましたが、すべて成功しませんでした。プロダクトから離れることができなかったからです。

マイケル・ウェイドIMD教授による「対デジタルディスラプター戦略」では、ディスラプターはコスト、エクスペリエンス、プラットフォームの3つのバリューを持つと解説されていますが、ここに更に「スピード」が加わったのがGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の強みです。

Amazonは平均11.6秒に1回のペースで新機能のリリースをしていると言います。彼らはデジタルを駆使して消費者行動をデータ化し、分析し、ものすごいスピードで改善していきます。これは、どの業界にでも応用できる方法ですから、現在Amazonが参入していないマーケットがあるとしたら、それは単に興味がないか優先度が低いだけです。トヨタやコマツが恐れているのはAmazonです。もし今、Amazonがモビリティサービスに参入したら、トヨタは数ある移動ツールの中のひとつとして扱われてしまうでしょう。

日本企業での導入事例

戸田:私が関与した国内のビジネスピード向上の事例をご紹介します。株式会社エムティーアイは、「music.jp」や「ルナルナ」を手がける国内第3位の大手デジタルサービスプロバイダーです。2009年から約2年かけて、私は同社でB2B事業部の開発チームにアジャイルを導入し、開発スピードを2倍に上げることに成功しました。

ただし、導入後に顕在化したのは「開発のスピードだけが上がっても、ビジネス全体のスピードは上がらない」という問題でした。そこで、私は2012年から同社に日本発のDevOpsを導入し、事業部の人数70名を変えることなく売上を3倍に上げる成果を上げました。開発はアジャイルですから週次ののサイクルなのに、営業は月次サイクルになっているという状況から、全部門が開発の週次に合わせるという転換を実施したのです。

アジャイルもDevOpsも手法ではなく、ビジネススピードを上げるためのアプローチです。アジャイルは「働き方」であり、DevOpsは「プロセス」だと言えるでしょう。その上のレイヤーにVeriSM™:という「管理体系」があります。このVeriSM™を私が導入した国内の最新事例がカブドットコム証券における仮想通貨ビジネスの立ち上げです。(編集部注:内容については以下の動画をご参照ください)

VeriSM™とは?

中川:EXINはオランダ経済相によって1984年に創設された試験機関で、資格制度や資格に紐づく教育を通して世界に通用する人材の育成を目的としています。オランダは2018年のIMD調査「世界競争力ランキング」で4位(日本は25位)と評価が高く、ITIL®認定資格プログラムも弊社が創設したものです。EXIN JAPANは2005年に開設され、日本だけでもこれまでに約17万人に資格授与してきました。


中川悦子様

2018年からスタートした新しい資格であるVeriSM™は、デジタル時代のサービスマネジメントアプローチです。従来はIT部門のみが担当していた「ITサービスマネジメント」の時代から、人事部門や経理部門を巻き込んだ「エンタープライズサービスマネジメント」への発展を経て、次世代のサービスマネジメントは「Everything as a Service」と呼ばれています。

デジタルトランスフォメーションの成功に求められるスキルも多様化している中、これらのプラクティスとテクノロジーを利用して、どのようにレバレッジをかかけたらよいでしょうか? そこで、既存の複数のスキルを組み合わせて俊敏に対応できるモデルを作ったのがVeriSM™です。サービスアーキテクトの皆様との議論の中で、いたずらに新しい知識体系を作るべきではない、というフィードバックを受けたことを反映しています。

2018年12月に発行された最初の書籍「VeriSM™ – A service management approach for the digital age」は抽象的な内容ですが評判を呼び、資格のスタートにつながりました。そして、具体的なVeriSM™の導入事例を紹介する「VeriSM™: Unwrapped and Applied」が近2018年秋に発売されます。同書には世界に先駆けた3つのVeriSM™導入事例が紹介されており、その中のひとつがカブドットコム証券のものになっています。

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