【レポート】社会課題を感じるシリーズ 第1回:ゲーム形式で社会課題を感じよう

2019.07.05

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2019年7月2日(火)、東京・日本橋のDBIC Tokyoにて「社会課題を感じるシリーズ 第1回:ゲーム形式で社会課題を感じよう」を開催しました。

2019年度から新たに「ソーシャルイノベーション by デザイン」を活動指針に加えたDBICは、ビジネスをエンジンに社会課題を解決していくことを通して、持続可能な事業と社会の共存を提案しています。新プログラム「社会課題を感じるシリーズ」は、社会課題を新しい切り口で「感じる」ワークショップによって、参加者が「自分ごと」として向き合えるようになるために企画したものです。


江上広行様(左)、折田智美様(右)

第1回のテーマは「ゲーム形式で社会課題を感じよう」です。プログラムファシリテーターに株式会社URUU代表取締役の江上広行様、プロノイア・グループ デザインコンサルタントの折田智美様を迎え、DBIC代表の横塚裕志と共に開発したオリジナルの「社会課題・大喜利 ~感じて 感じて 座布団一枚~」を中心にワークショップを開催しました。

本レポートでは前半のレクチャー、後半のワークショップの様子を内容を再構成してお伝えします。

世界はつながっている、自分は起点

URUU 江上広行様(以下、江上):参加者の皆さんの中には「SDGsを初めて聞いた」という方もいらっしゃいましたので、最初に説明します。

SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年に国連で採択された17種類の目標です。前身となったMDGs(ミレニアム開発目標)の影響もあって、17種類のうち序盤の項目は貧困根絶、飢餓根絶、健康、教育など途上国向けや環境関連のものが多いですが、中盤から働き方や街づくりなど、先進国に関連するものも増えてきます。

国連がMDGsから項目を増やしてSDGsに発展させた背景には、「すべては影響し合っているので、地球の全員が当事者であり、受益者である」というメッセージがあります。SDGsは経済・環境・社会の統合的な目標ですから、例えばあなたが今日どこで何を買うかが、地球全体の環境問題にもつながっていることが前提です。

そしてSDGsの達成のためには、行政やNGOやNPOだけでなく、ビジネス、つまり企業の参加が不可欠です。本日参加されている大企業の社員の皆さんも例外ではありません。もし今日ここに来る途中に電車であなたが誰かに席を譲ったとしたら、それもSDGsの一部だと私は思います。世界はつながっていますから、自分がやったちょっとした行動が、巡り巡って世界を変えていく可能性があるのです。

日本人とSDGs、企業とSDGs

プロノイア・グループ 折田智美様:今日はDBICメンバーの大企業の皆さんが多く出席してくださっています。世界的に見ても100年以上の歴史を持つ大企業がこれだけ多くある国はほとんどありません。

私は、日本企業は江戸時代から既にSDGsを体現していたと考えています。近江商人の「三方よし」をご存知でしょうか。この「買い手よし、売り手よし、世間によし」という考え方は、そのままSDGsの「ユーザー、ビジネス、環境」に置き換えることができます。本来は日本人のDNAに刻まれているはずのSDGsが、近年なって短期間での売上を追求するようになったことで忘れらてきてしまったのかもしれません。

でも実際には、企業にとってSDGsは無視できないブルーオーシャンな市場なのです。SDGs関連のグローバル投資額は2019年で100兆円規模、2030年には1,300兆円規模と試算されています。今からでも参入することで大きな市場を狙うことができます。また、既に欧米ではSDGsに取り組まない企業は投資の対象から外されるのが当たり前です。若者の就職先としても敬遠されてしまいます。

SDGsへの取り組みを戦略化し、社内外にしっかりPRすることが世界の投資家に選ばれることにつながり、日本企業が次の100年をサステイナブルに成長できるようになるのです。

江上:今、世界では金融や投資を通して社会を変えようとする「GABV(Global Alliance of Bank on Values)」というムーブメントが巻き起こっています。

例えば銀行であれば「死刑制度のある国の国債は買わない」とか「CO2排出を増やす企業には投資しない」、預金者であればそいういう投資方針の銀行でなければ預金を引き上げる、という活動です。僕はこの日本版である「価値を大切にする金融実践者の会(JPBV)」という活動を行っています。

ワーク#1:システム思考を体験しよう!

ここからは編集部がプログラム後半に実施された各種ワークショップの模様をレポートします。

まずはSDGsにとって重要な「システム思考」を体験するワーク。参加者が起立して「自分より2メートル以上離れたふたりをターゲットとして設定」「そのふたりと自分が頂点となる正三角形になるポジションに移動」というルールで行動しました。


自分が誰かをターゲットにして動くと、自分をターゲットにしていた誰かが動いて、更にその人をターゲットにした人も動いて、という具合に連鎖して全員が動き続けてしまう

他にも、システム思考を体現した「風が吹くと桶屋が儲かる」という言葉を参考に、ある行動が、巡り巡って想定外の影響を与える事例の穴埋め問題に参加者が挑戦しました。

ワーク#2:ぶっ飛んだ発想をしよう!

シンギュラリティに代表されるように、やがてテクノロジーの進化に人間の思考が追いつかなくなる日が来ます。従来の「未来に対して戦略を立て、そのための組織をつくって、人を動かす」という考え方を反転させ「まずは人の幸福を優先させ、そこから描きたい未来を考える」ことを体験するワークを実施しました。


参加者がグループに分かれ「2030年に生きている自分が2019年を思い出して『どうしてあの時代の人達は、あんなバカなことをやっていたんだろう』と思えるようにしたいこと」をテーマにアイデアを出し合った


お互いの「ぶっ飛んだアイデア」に参加者からは笑い声や歓声が上がっていた

ワーク#3:社会課題・大喜利 ~感じて 感じて 座布団一枚~

イノベーションの父、シュンペーターはイノベーションを「新結合」と定義しました。今回のワークショップのメインイベント「社会課題・大喜利」は、江上様、折田様、DBIC代表の横塚で共同開発したカードを組み合せて遊ぶオリジナルゲームです。

ランダムに提示される「ヒト」と「テクノロジー」のカードを組み合わせて、貧困問題、フードロスなどの社会問題解決のアイデアを参加者から募集します。ヒトのカードは「イタコ」「アーティスト」「定年退職者」などの職業と性別や年齢が詳細に設定されたオリジナルキャラクターから構成され、テクノジーのカードは「5G回線」「自動運転」「3Dプリンタ」などリアルなラインナップ。

事前にシステム思考と「ぶっ飛んだ発想」のワークを体験済みの参加者からは、斬新なアイデアが次々に飛び出しました。次回開催にご期待ください。


例えば「22歳の元アイドル」と「ビッグデータ」を組み合わせて「満員電車」をどうやって解消するか、といった謎掛けに対して、参加者が「整いました!」と手を上げてアイデアを披露。名回答にはフラワーレイが進呈された


カードの読み上げはDBIC代表の横塚裕志が担当

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