【シンガポールレポート】スタートアップ企業とのコラボレーション

2019.08.04

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シンガポールイノベーションプログラムでは、2019年7月から現地スタートアップ企業とのディスカッションを始め、1ヵ月間で延べ70回以上のミーティングを実施しています。なぜスタートアップ企業とのコラボレーションを目指しているのか。その活動内容をご紹介します。


シンガポールではコワーキングスペースや街角のカフェがミーティングの舞台

 

シンガポールイノベーションプログラムでは「プロブレムステートメントの定義」と「スタートアップ企業とのコラボレーション」に重点を置いています。

なぜ「スタートアップ企業とのコラボレーション」を重視しているのか、それには大きく2つの理由があります。1つ目の理由は「実現可能なソリューション(課題解決策)を見つける」ためです。


社会課題解決に取り組む企業を支援する「Social Collider」でのプロトタイプ製品見学

 

実現可能なソリューションを見つける

プロブレムステートメントを定義する目的は、顧客の痛みを明確にし、潜在的な顧客を見つけることにあります。しかし、プロブレムステートメントはあくまで仮説でしかありません。

その課題が本当に存在するのか、解決に値する課題なのか、どのような解決策があるのか。プロブレムステートメントを繰り返し検証しながら、時にはピボット(軌道修正)しながら、顧客の真のニーズを探り、実際に顧客に受け入れられるアイデアを探す必要があります。


デザインシンキング講師 Shang Lim 様によるレビューセッション

我々が思いつくアイデアは、基本的に世界中の誰かがすでに実現している可能性が高いものです。探せばよく似たアイデアが必ず見つかります。むしろ競合相手がいないアイデアは実現可能性が極めて低いものと考えたほうがよいでしょう。

様々なスタートアップ企業のアイデアを調査し、比較し、ビジネスモデルを学ぶことで多くのヒントを得ることができ、自分たちのアイデアをブラッシュアップすることができます。


廃棄物のリユースデザインファーム「MINIWIZ」とのディスカッション

また実践者であるスタートアップの方々はその分野の専門家でもあります。我々のアイデアをシェアしディスカッションすることで実際に行動している人にしか分からない知見を得ることができます。

こうしてスタートアップ企業とのディスカッションを深め、世界中の競合するサービスと比較しながら、自分たちのアイデアの独自優位性(ユニークバリュープロポジション)を見い出していくことが、実現可能なソリューションを見つける手がかりとなります。


コワーキングスペース「Found 8 Amoy」前でスタートアップ企業との打ち合わせに向けた作戦会議

 

スタートアップ企業のアジリティを得る

コラボレーションをする2つ目の理由、それはスタートアップ企業の情熱とスピードを得ることです。


ディスカッション中でも素早くプログラムを修正

スタートアップ企業の起業家たちはまさにイノベーションの実践者であり、それぞれのプロブレムステートメントを持って日々活動されています。その命がけの情熱・熱意が世界を変えていきます。

またスタートアップが成功する最大の要因はアイデアではなくタイミングであると言われています。起業家たちはこのタイミングを逃さないように、素早い判断でアイデアのピボット(軌道修正)をおこない、成長するための道を選択しています。

参考: TED | The single biggest reason why start-ups succeed | Bill Gross

このスピード感がイノベーションプロジェクト推進の強力な原動力になります。コラボレーションを実現するためには従来型の日本企業の意思決定プロセスでは間に合わず、新たなイノベーティブな意思決定プロセスを確立することが求められます。


プロジェクト推進に向けてDBICメンバーのボルテージも上がっています

またスタートアップ企業の成長度合いや、製品の市場投入タイミングも重要な要素です。このタイミングが奇跡的に一致した場合にコラボレーションが実現します。もし意思決定に3ヵ月かかると言われれば、スタートアップ企業はすぐに他のパートナーとコラボレーションを進めるでしょう。

実際に2018年度のPoCにご協力いただいたスタートアップ企業は、この1年間で様々な投資家・大企業から資金調達を得て大きく成長しています。このスピードに合わせられるかが企業側の大きな課題とも言えます。


2018年度デモデーにご協力いただいたBiofourmisのKuldeep Singh Rajput様がInnovfest2019のメインステージにご登壇

 

シンガポールでイノベーションに取り組む理由

日本ではこのコラボレーティブイノベーションが簡単ではありません。これがDBICがシンガポールでイノベーション創出に取り組んでいる最大の理由です。


地図上に質問を投稿できるアプリ「Outside」チームとのディスカッション

日本ではイノベーションの主体が大企業であることが多く、コラボレーションの重要性は理解されているものの、いざプロジェクトをする際には自前主義・秘密主義が先行し、実際のコラボレーションがなかなか進みません。

また政府・大学・民間企業・スタートアップ企業がサイロ構造になっており、それぞれの意思決定プロセスが遅いため(注1)、市場のトレンドを逃してしまいます。
(注1:IMD国際競争力ランキングで日本は「企業の俊敏性」に置いて調査対象63ヶ国中で最下位)


社会課題解決を推進する政府組織「raiSE」のCEO / Alfie Othman様と、求職キオスクを開発する「Findjobs」とのディスカッション

シンガポールでは大企業とスタートアップ企業が対等にコラボレーションすることが当たり前であり、そのパワーとアジリティを得るために、政府や企業が躍起になってスタートアップ企業を育てています。

今回も我々のプロブレムステートメントを政府機関である「Enterprise Singapore」にシェアしたところ、すぐに有力なスタートアップ企業を紹介していただき、LinkedInでCEOとメッセージをやり取りし、翌日にはミーティングをしている、そういったスピード感でコラボレーションが進んでいます。


Singapore University of Technology and Design(SUTD)大学にて、Enterprise Singaporeのご担当者様もご同席いただいたディスカッションの様子

2019年度はシンガポールの政府機関や大企業にご支援いただき、9月中旬に現地でイベントを開催する予定です。詳細が決まりましたら改めてご案内させていただきます。

 

イベント告知ページ
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