【レポート】横塚裕志が聞きたいシリーズ第21回:コロナウイルス大戦から見えた韓国ITインフラストラクチャーとは ~韓国の支援金は申請から振込みまで最短で5分~

2020.07.03

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2020年6月4日(木)「横塚裕志が聞きたいシリーズ第21回:コロナウイルス大戦から見えた韓国ITインフラストラクチャーとは」をオンラインで開催しました。

スピーカーはイーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長で、明治大学公共政策大学大学院兼任講師も勤める廉 宗淳(ヨム・ジョンスン)様です。廉さんは、1993年渡日以来、医療、行政、教育などの公共分野におけるコンサルティングを展開。聖路加国際病院ITアドバイザー、大阪府・大阪市特別参与、佐賀県情報企画監、青森市情報政策調整監などを歴任し、近年では建築コンサルティング分野、運送分野、農業分野など民間企業のデジタル・トランスフォーメーションのコンサルティング業務で多くの実績を挙げている方です。

まず、中国の武漢から始まったとされる新型コロナウイルス、あっという間に全世界に広がり、世界各国を恐怖に陥れた怪物は韓国にも襲い掛かりました。韓国では、この危機を乗り越えるために何をするべきかを熟議して、次々と対策を立て、実行に移した結果、世界で最もコロナウイルスにうまく対処した国になったと言われています。その韓国においてコロナウイルス大戦を勝利に導く過程で、陰で活躍した韓国のITインフラストラクチャーの力は凄まじいものがあったようです。

今回のシリーズ第21回では、廉さんから、以下の骨子でお話し頂きました。

  1. どのようにコロナウイルス感染者の全国的発生状況をいち早くキャッチしたのか
  2. 如何に早く感染者移動経路を調査して濃厚接触者を見つけ出し、PCR検査を受けさせ、隔離に至ったのか。
  3. 爆増する需要により、品薄になったマスクを公平に国民に配るために何をしたのか
  4. 外国からの入国者に対して、入国拒否はせず、どのように国内での動線をコントロールしたのか
  5. どうやって来院患者の診療時に海外渡航履歴を患者からの申告なしに把握できたのか

以上です。
本レポートでは講演内容を再構成してお伝えします。

廉 宗淳様:皆さん、こんにちは。私は、日本でデジタル・トランスフォーメーションのコンサルティング事業を展開しているイーコーポレーションドットジェーピーという会社を経営しています。それ以外では、疾病予測研究所の取締役として韓国における4年後の疾病予測をするサービス提供しています。それと同時に明治大学公共政策大学院の講師もしています。過去には、日本の内閣府や地方自治体の仕事、そのほかにヘルスケアや金融、土木・建設、農業IoT分野などにも関わっていました。

さて、最初に韓国のコロナウイルス大戦において韓国政府が使ったIT武器とはどういったものかという話しをしたいと思います。
韓国のITインフラの中で、もっとも大切なものは、「住民登録番号制度」です。これは日本の住民登録制度をそのまま導入したものです。1962年から韓国で全国民総背番号制度が実施されまして、その下で導入されたのが住民登録番号制度。もうひとつが「公的個人認証書」になります。これには銀行が発行するものと、政府が発行するものがあり、韓国で経済活動をしている国民は全員保有しています。

韓国の住民カードはこれまで、プラスチック製の住民カードでしたが、今年からスマホに格納する住民カードに移行させようとしています。その背景にあるのが高いスマホの普及率です。同時に、年代を問わずITリテラシーが高いのが韓国の特徴と言えます。その辺のお話しは後ほど説明します。

さて、ここから韓国のITインフラやツールの具体的な話しに移ります。

さきほど韓国でもっとも大切なものと言った住民登録番号と日本のマイナンバーの違いについてです。韓国では、出生届を出す時点で住民登録番号が付与されます。そして20歳くらいになって、顔がある程度確定すると顔写真付きの住民登録カードを発行してもらえます。これは単なるプラスチック製です。裏面には指紋が捺印されていて、韓国ではこの指紋を生体認証として使います。さきほど申し上げたように韓国では現在、このカードをIC化しないで、そのままスマホに格納する作業を始めています。

もうひとつ、画面の右側は、私の運転免許証です。運転免許証のシステムそのものは日本のNECから導入したものです。ここに印刷されている項目とかナンバーは日本とそっくりです。一種普通、二種普通とか、特徴的なのは、私の13桁の住民登録番号が運転免許証にも記録されていて、韓国では、私のすべての公共的な情報を住民登録番号で紐づけされています。国民生活に必要なほぼすべての情報と連携しているわけです。

次は、「金融実名制」と「不動産実名制」についてです。え~っ、今週ですか、日本の政府が銀行の口座にマイナンバーを紐付けするというニュースがありましたが、韓国では1993年8月2日から「全国民は金融資産を本人名義で保有しなければならない」という法律が出来ました。それが金融実名制です。それによって、すべての銀行の預金は実名で登録しないといけないし、住民登録番号と繋がっていないといけません。
2年後の1995年7月1日には、「全国民は不動産を本人名義で保有しなければならない」という法律が施行されました。日本では空き家の所有者が分からないという問題が浮上していますが、韓国ではこの問題は不動産実名制により解消されています。
検察、警察は、合法的な依頼があった場合、端末でその人の住民登録番号を入力すれば、すべての資産が5分以内に把握できるようになっています。なので、脱税するのも容易ではないし、隠すのも難しいです。

今度は「全国民健康保険」と「健康保険審査評価院」の話しです。
韓国は日本と同じような保険制度を持っています。日本の場合は、保険診療を行っている病院はすべてにおいて保険診療の対象になりますね。ただ韓国では、PET検査のような高額なものは保険の対象になっていないケースもあります。だから病院のすべての診療科目の中で、約8割が保険対象で、2割くらいは保険対象ではありません。これが日本との違いです。
韓国では2000年にすべての医療保険が国民健康保険に統合されました。医療保険に住民登録番号が連携されているので、病院に行った時に健康保険カードがなくても住民登録番号さえ言えば、担当者は私の保険証が生きているのか死んでいるのか即座に確認できるようになっています。

韓国ではこれと同じ時期に健康保険審査評価院というものが創設されました。医療保険の請求が上がってきたら、これを審査する厚労省傘下の保険審査機関です。この機関には3500人くらいが勤めていまして、保険請求を一括して引き受けて処理しています。ほぼすべての保険請求はオンラインでの処理が可能になっています。
日本の場合は、各病院がレセプト請求書をつくって、それを参照しながら、データを打ち込んでいますが、韓国の場合は、診療した医師が基本的にクリックした瞬間にレセプトデータが入力される仕組みになっています。

韓国オンラインの中枢、「行政情報共同利用センター」とは

廉 宗淳様:韓国はすべてにおいて「オンラインの国」です。それを可能にしている中枢が「行政情報共同利用センター」です。2005年11月に韓国の行政自治部の傘下に設置されたものです。なぜこのセンターが作られたかと言うと、理想的な電子政府サービスをするためです。電子政府ポータルサイトと言っておきながら、リンクばかりであっちこっち跳ぶだけのサイト構造を回避しようというのが狙いでした。

韓国の電子政府法の第4条には「行政機関は相互間の行政情報の共同利用を通じて電子的に確認出来る事項を国民に求めてはならない」と記されています。政府機関、地方自治体、銀行や電力・ガス会社、大学などでは、自分たちで電子的に確認できることは国民に求めてはならないと言っているのです。従って、韓国では政府や地方自治体などの行政機関に住民票を提出するような需要はほとんどありません。

例えば私が日本で、銀行から不動産を担保にお金を借りる場合、不動産登記簿謄本、印鑑証明書、住民票などが必要になります。それだけでもいろいろな役所にいって書類を入手しなければなりませんね。それが韓国では、私が端末から共同利用センターに入り、「どこどこ銀行に私の個人情報を提供して欲しい」という委任状みたいなものを書きます。すると銀行の担当者は私のフォルダにある個人のPDFデータを閲覧して然るべき手続きに入ることができます。

もうひとつ、皆さんは毎年、年末調整をしていると思いますが、源泉徴収票とか、保険料控除申告書を用意しないといけませんね。それが韓国では、私が国税庁のサーバーにログインすると、一年中、お金をどこでいくらもらったか、そして控除されるべき領収書とかがぜんぶ表示されるようになっています。なので、私はその中から必要なものを選択して承認ボタンを押せば年末調整の作業が完了する仕組みなのです。

このように韓国では行政情報共同利用センターが役所の働き方改革にもの凄く大きく貢献しています。私は日本で電子政府推進の仕事をしたり、一時期、自治体の公務員としても働きましたがこのようなセンターがなければ何事もできません。

情報の共同利用というのはいろいろなタイプがありますね。例えば、その人物がここに住んでいるのかいないのかだけを確認したいというニーズもあれば、もっと幅広い情報を知りたいというものもあるでしょう。それを分類すると、「行政情報照会サービス」「行政情報流通サービス」「書類管理サービス」「個人情報保護サービス」などになるでしょう。なかでも重要なのが個人情報保護サービスです。このセンターでは、私の個人情報を守ってくれていて、私が確認しようと思えばいつでも第三者の閲覧履歴を確認することができます。もちろん、日本と同様に許可なく個人情報を見たら厳罰に処されます。

次は「データ三法」の話しです。
最近、多くの企業がビッグデータを利活用したデータビジネスを始めていますね。そうした4次産業革命において、韓国政府はもっともっと新しいビジネスに参入しやすくするためにビッグデータを提供したいという考えを持っています。
そのため、データ三法を制定し、個人情報の保護のほか、銀行が持っている信用情報の保護、それと携帯電話会社が持つ個人情報の保護を徹底することによって、バラバラになっていた個人情報を結合して公益利用に限り提供できるようにしたのです。
ヨム・ジョンソンはどんな消費行動をしているのか、ひとりのデータでは意味ないですが、それが1000人とか1万人単位でデータを加工すれば意味のあるものが作れます。

データ三法ではデータ利用の第一歩として、統計作成、研究、公益的な記録保存といった目的に限定しています。公益とはどういうものかと言う話しですが、私が関わっている疾病予測研究所の仕事を例に説明します。研究所では全国民の診療データの中で、10年間、150万人分の健康診断記録を匿名化したデータをマイニングしています。このナレッジデータベースでは、血圧など自分の健康診断書にある28項目くらいのデータを入力すれば、このパターンの人は4年後にどんな病気にかかる可能性があるのか、ビッグデータとAIを駆使して予測します。こうしたケースを公益的なデータ活用と言っています。
なぜ、公益かと言うと、こうしたサービスが韓国で実際に活性化すれば、韓国人は病院に行かなくても済むようになり、そうすると健康保険財政の負担が軽減されるからです。

一目で分かる病院の不正請求や診療レベル

廉 宗淳様:これまでお話ししてきたように韓国にはこうした高度なITインフラがあるため、今回発生したコロナウイルスに対しても、うまく対処できたと言えます。それでは具体的な対処方法を説明します。

一つ目は、コロナウイルスの感染者と発生状況の把握方法です。
韓国ではすべての医師がオンラインを利用していて、処方箋のデータを入力するとリアルタイムで健康保険審査評価院に保険請求データが送られます。全国各地で特定病名の患者が異常に増えるとAIシステムが自動的に察知し、アラームを鳴らす仕組みになっています。
定量的に予兆や予報が把握できるようになっているのです。

これが医療保険請求オンラインの図です。

廉 宗淳様:病院から保険請求をする時に、大手病院であれば、EDIでやります。個人クリニックのような小さな病院の場合はWebポータル経由です。このシステムに入ってきたデータはAIが学習していて、ある病院は「過大請求をする」、ある病院は「不正請求が多い」、「この病名でこの請求額はおかしい」ということを収集・分析しています。それ以外では、この病院は手術力が落ちているとか、病院ごとの優劣がすべて分かるようになっています。しかも、それを国民にオンラインで公開しているのが韓国なのです。
薬局についても個別データが公開されているので、この薬局は信用できる、できないということを国民が判断できるようになっています。この病院の先生はガンの手術がうまいとか、この病院でガンの手術を受けたら延命期間の長さがどれくらいなのかまで分かるようになっているのです。

すべての役所がオンラインで繋がっているので、病院で手術を受けたら、その事実が登録され、誰かが死んで役所に死亡届が出されたら、すべてセンターに結合されていきます。従って、ガンの手術をしてからどれくらいで死亡したのかが分かるわけです。
このデータセンターであるHIRA(健康保険審査評価院)にはデータウェアハウスがあって、このHIRAにはデータアナリストと言われる方々が従事しています。彼らは日々収集したデータを分析してマイニングしています。彼らは各研究機関が利用できるようデータを加工し、無償でデータを提供しています。

韓国ではウイルス感染者が判明したら、その感染者と接触したと思われる人たち全員を検査します。従って、韓国でPCR検査を受けた人の数は6月初旬で65万人くらい。日本は23万人でした。韓国ではこのようにたくさん検査します。
この地図で表されているのは民間企業がボランティアで提供しているものです。

廉 宗淳様:地図では隔離されている感染者の場所も座標で表示されます。役所は感染者がそれまでに移動した情報を持っています。そのため、利用者が過去に感染者が歩いた道に近づくとショートメッセージでアラーム送信するようになっています。利用者はなるべく、そのルートを避けるようにすれば良いわけです。

ところで、こうしたデータを集める時に患者さんと面談していろいろ聞かないといけませんよね。これを「疫学調査」といいます。患者さんに「どこからどこへ移動したのですか」「どこで誰と会いましたか」「その中でどこで感染した可能性があるのか分かりますか」といった内容の問診をしないといけません。日本では保健所の人が一人当たり一日以上かけて問診しています。人の記憶はあいまいなことが多いですから、実際はもっと時間がかかりますよね。

ところが韓国ではクレジットカードの履歴情報、Suicaみたいな交通系カードの履歴、携帯電話のGPS履歴から、その人の消費・購買、移動履歴を把握しているので、必要とあれば10分以内にその人の行動履歴が分かります。もちろん、パンデミック時に疾病管理法という法律が施行された時にだけ適用されるものです。

韓国のコロナ対策は3T戦略

廉 宗淳様:コロナ対策ですが日本の3密対策に対して韓国は3T戦略です。これは検査(Test)と追跡(Trace)、治療(Treat)の頭文字のTを指します。余談ですが、日本ではコロナに感染したら国民が責任を問われますが、韓国ではコロナが拡散したら、責任は国にあるという認識です。これはものすごい両国の違いですね。そのために韓国では、検査キャパシティーの確保に懸命に尽力しました。最初から民間の検査機関を利用することで、全国80か所以上の体制を整備しました。その結果、6月3日時点で95万人くらいの検査を実施しています。

判定スピードも早く、PCR検査後の結果判定を6時間以内に個人と病院に報告します。検査方式もドライブスルー、ワークスルーという方法をいち早く採用しました。検査キットの輸出は1月の3000ドルから4月には3億ドルにまで販売が増えていて、世界104か国に広がっています。

このほか、住民登録番号で個人を識別して販売量を制限する公的マスク販売システムもあります。このコンピューターシステムは24時間対応で応答速度は1件当たり0.05秒の速度です。本日の受講者にはIT関係の方が多いと聞いていますので、一言触れますが、最近のニュースをみると、コンピューターシステムがハードの容量不足でダウンしてしまったという報道がいくつかありました。それを聞いた時に皆さんはサーバー容量が足りないとかCPUが足りないからだと判断したかも知れません。しかし、日本と韓国のITを比較した私からするとまったく違っていて、プログラミングのスキル、データベースのスキルが低いから発生したもので、ソフトウェア技術の最適化のスキルがあれば解決できる問題なのです。ベンダーはCPUを増強しましょうとか提案するでしょう。しかし、それが適正金額なのか是非とも考えて頂きたいのです。御社と同じ規模の韓国の会社のサーバーが何台なのかといったこと含めてITシステムの内容をチェックすれば自社のシステムの適正レベルが分かるはずです。

私は日本の市役所で13年、県庁で8年勤務して、そこで発注者としてITベンダーとやりとりをして、業界の内情を詳細に確認してきた経験を持ちます。その立場から言わせてもらうと、シャープのマスク販売サイトがパンクしたというニュースは、改めて愕然としました。

次は「外国入国者管理システム」です。皆さん、韓国に入国した日本人のネットの手記をみてもらえればよく分かると思いますが、韓国では入国者に以下のような手厚い対応をしています。
入国すると簡単な問診をします。次にスマホに専用のアプリをインストールしてもらいます。そのアプリがこれです。

廉 宗淳様:もちろん、アプリは英語、中国語、日本語に対応しています。「朝と晩、自分の体温を測ってアプリに入力して下さい」「GPS機能は切らないで下さい」と言われます。その後、皆さんはどのように帰国されますかと聞かれます。日本では自家用車を使って下さいとか、空港内で2週間隔離します、ですね。韓国は違います。韓国版の新幹線で患者さん向けの車両が特別に用意されていたり、専用バスも用意されています。

宿泊先に着くと韓国自治体の公務員が訪ねてきます。宿泊者には隔離生活に必要なキットが提供されます。消毒液のほか、お米やお菓子、キムチとかも入っているキットです。2週間分のものです。
どうしても外出する用事がある場合は、公務員が代行してくれます。とにかく隔離させます。その代わり勝手に外出したりしてバレると、まず警察が出動して、場合によっては強制出国、もしくは逮捕されます。スマホを持っていない人には隔離者用GPS監視リストバンドの着用が強要され、拒否した場合は入国できません。

コロナの厄介なところは感染していた場合でも本人が分からないことですね。
韓国の病院では感染予防法が発動された時に限ってですが、受付に行って自分の住民登録番号を入力すると直近の渡航履歴が表示される仕組みになっています。本人が明らかにしなくても端末に渡航履歴が表示されたら、院内の別のルートを通じて診察を受けてもらうようになっているのです。これは病院の端末利用だけに限りません。現在、「陽性情報共同利用センター」を利用する機関は456の中央省庁や自治体、電力・ガス、鉄道など106の公共機関、18の銀行などでこのデータをチェックできるようなり、応用範囲が広がっています。

3日間で8次感染まで把握できるITシステム

廉 宗淳様:次に「モバイル電子訪問管理システム」の説明をします。このシステム開発の背景になったのが、あるナイトクラブでのクラスター感染が発覚した事案です。

ナイトクラブで遊興していたある人物がその日のうちにカラオケボックスで歌って楽しみました。そのカラオケボックスでは空調システムを通じて別の部屋の人に感染。帰宅時、その人がタクシーを使ったため、タクシー運転手に感染、その運転手は副業で写真撮影店で働いていたため、日曜日には七五三の記念撮影のために訪れた家族に感染、その結果、3日間で8次感染までいったことが確認できました。
良いか悪いかは別にして、さきほど紹介したようなシステムがあったからこそ韓国で短期間にここまでトレースできるようになっています。日本では到底あり得ない話しだと思いますがね。

このシステムは、スナックやクラブ、それに風俗店の訪問者5000人を対象に名前や電話番号のヒアリングをした結果、本当の電話番号を書いてくれた人は2000人だったという事実をもとに開発することになったものです。
それで開発・導入されたのがモバイル電子訪問管理システムです。このシステムではまず、自分用に住民登録番号など個人情報に紐づけられたQRコードを発行してもらいます。お店にいくとQRコードの読み取り器があり、入店時に自分用に発行してもらったQRコードを読み取ってもらうというものです。「ピッピッ」とするだけですから入店しやすいですね。これらのデータですがその後、社会保障情報院やQRコード発行会社から保健福祉部の疾病管理本部に送られ、何事もなかった場合は、疾病管理本部が4週間以内にデータを廃棄するお約束になっています。

災害支援金は申請から振込みまで最短で5分

廉 宗淳様:最後に韓国で実施されている「緊急災害支援金」の話しをします。

廉 宗淳様:支援金給付でも日本と韓国で大きな違いがあります。韓国では、支援金の受付窓口を役所と銀行の両方で開いています。リアルの窓口とWebサイトの両方です。申請したら、すぐデータがオンライン処理されて私のクレジットカードに電子マネーとしてチャージできるようになります。ちなみに現金給付を求める人はごく一部です。というのも、電子マネーで振込んでもらうと実質10%くらい上乗せしてもらえるからです。びっくりすると思いますが、韓国では申請から、電子マネーが振り込まれるまで最短で5分です。
この支援金ですが、街の自営業者などの零細企業で使ってもらうことを前提にして制限をかけています。百貨店とか大型スーパー、それに風俗店では使えない仕組みです。それも3か月以内に使わないとゼロになるようにしているため、すでに経済効果もかなり上がっています。
これで最後になります。ご清聴、ありがとうございます。

スピーカー

廉 宗淳 様(イーコーポレーションドットジェーピー株式会社 代表取締役社長・明治大学公共政策大学大学院 兼任講師(CIO学)総務省 電子政府推進員)
1962年ソウル生まれ。早稲田大学大学院、佐賀大学大学院 学術博士(Ph.D)。
1993年渡日以来、医療、行政、教育の公共分野におけるコンサルティングを通して成果を上げている。聖路加国際病院ITアドバイザー、大阪府・大阪市特別参与、佐賀県情報企画監、青森市情報政策調整監などを歴任。近年では建築コンサルティング分野、運送分野、農業分野など民間企業のデジタルトランスフォーメーションコンサルティングを行っている。
著書に「『ものづくり』を変えるITの『ものがたり』」、「行政改革を導く電子政府・電子自治体への戦略」、「『電子政府』実現へのシナリオ」がある。

以上

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