【横塚裕志コラム】DX案件の開発に忙しいあなたへ

2019.08.05

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DBIC代表の横塚裕志です。DX(デジタルトランスフォメーション)案件の開発に忙しく、世界の新しい動きを学びたくても時間が取れないあなたに向けて、ラブレターを書きました。

そもそも、DXとは何でしょうか?

スイスにある世界トップクラスのビジネススクールIMDでDX研究に取り組み、DXの世界的な権威となったマイケル・ウェイド教授は以下のように主張しています。

「DXとは、世界のすべての産業界を破壊するべく大きく吹き荒れているデジタルの嵐のなかで、既存の企業がいかにして生き残っていくかの全社戦略をいう。DXは、企業ビジョンの変革であり、ビジネスモデルの変革であり、意思決定モデルの変革であり、組織の変革であり、マインドセットの変革であり、人材の変革だ」

このウェイド教授の言葉を受けて、私が日本の大企業におけるDXの代表的な事例だと考えるのは、トヨタが自動車の製造・販売業から「モビリティサービス」業に変革するという動きです。

豊田章男社長の「3代目の私がトヨタをつぶすわけにはいかない」というメッセージは強烈な印象を残しました。ソフトバンクなど多くの企業との提携、役員制度の変革、大幅な人事異動など目まぐるしい動きが目を引きます。2兆5000億の利益を出しているトヨタでさえ、生き残りに必死の形相なのです。

今、あなたが取り組んでいる案件の先にDXはありますか?

DXをこのように定義してみたとき、日頃あなたが取り組んでいるDX案件は当てはまりますか? もしかしてIT案件を少しモダンにした程度の、DXに似せた「おもちゃ」づくりになっていませんか?

おもちゃだったとしても、既存ビジネスを多少なりとも成長させたり、効率化したりする効果があれば、それは意義のあることです。また、新しい技術へのトライが重要であることも否定しません。

一方で、今の活動に忙しく取り組んでさえいれば、その先に「真のDX」が実現するのでしょうか? 恐らく答えはノーですよね。私は、そこを心配しているのです。

真のDXである「生き残り戦略」を企画し、その実行プランを作成することが最も優先順位の高い仕事です。それを進めるうえでの実験が必要であれば、大いに実験したらよいと思います。しかし、DXという「魂」がないままの実験は、無駄な投資になってしまう可能性が高いでしょう。

あなたがやらなくていいのですか?

ここまで読んだあなたはこう反論するかもしれません。「私だって自分が担当しているDX案件が、真のDXとは少し違うことに気付いています。しかし、全社戦略のDXは別の部署の人たちが考えていることなので、その結果を待つしかないのです。それまでのつなぎが、私が今やっているDX案件なのです」

本当にそうですか? あなた自身が世界のDXを学び、DXの魂を見つけるという役割を持っているのではないですか? あなたの想い、あなたの提案、あなたの企画を期待している人がいるのではないですか?

あなたの役割を「DX案件の開発だけです」と決めた人はいないはずです。あなたが今、動き出さなくて、いつ動くのでしょうか? 今がチャンスです。

もちろん、DXの正解がお店でパッケージ販売されているわけではありません。時間がかかる、難しい旅になるでしょう。それでも旅に出ませんか? 今こそが、あなたの出番です。おかしいなと思うことはおかしいのです。

勇気をもって、DXの旅に出てほしい。

DBICから愛をこめて

追伸:さびしいときは日本橋に来てください。お酒あります。

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執筆者紹介


横塚 裕志
一橋大学卒業。1973年、東京海上火災保険入社。2007年に東京海上日動火災保険の常務取締役に就任、2009年に東京海上日動システムズ株式会社代表取締役社長就任。2014年より特定非営利活動法人CeFIL理事長となり、2016年にデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)を設立、以降代表を務める。DBICでは日本を代表するメンバー企業約30社と共に、DX促進や社会課題の解決に取り組んでいる。

  • 特定非営利活動法人CeFIL 理事長 / DBIC代表
  • 産業技術総合研究所 研究評価委員会(情報・人間工学領域)委員長
  • 高崎商科大学アドバイザリーコミッティーメンバー
  • 日本ビジネスプロセスマネジメント協会副会長
  • インフォテック株式会社 取締役
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