【レポート】横塚裕志が聞きたいシリーズ 第14回:マーケットから医療を変える。日本版リテールクリニックへの挑戦

スピーカーは株式会社シェアメディカルCEOの峯 啓真様。医療スマホアプリの開発や、医療用チャットサービス「メディライン」の運営、開発を手がけられています。 峯 啓真 様

病気の早期発見・治療による経済効果は大きい

「今日はちょっと熱があるな」「いつもより調子悪いな」と感じても、そのまま出社してしまう人も多いのではないでしょうか? もし感染性患者が人の集まる場所に行くと、さらに多くの患者を生み出すことになります。企業にとっても従業員が5日間休むと4万円以上の損失になると言われており、病気の早期対処は決して個人だけの問題ではありません。 DBIC代表 横塚裕志 病気にかかってからの行動を分析すると、人には「症状はあるけれども医療機関には行かない。自己判断で市販薬で対処する」期間があることが分かっています。峯様はこれを「コンビニエンスケア」期間と名付け、この期間中にいかに早期対処するかが重要だと考えています。 アメリカではリテールクリニックという、ショッピングモールや薬局などに併設された医師が常駐しない簡易診療所が普及しています。医師の代わりに資格を持った看護師が診察して薬を処方することで、大半の患者は素早く適切な対処をすることができ、病院に来院する患者を減らすことに成功しています。中国では対話型のディスプレイを利用した無人の簡易診療所も普及し始めています。

日本の医療制度の限界

一方で、日本においては高品質な医療を支える独自の医療制度や国民皆保険が、医療分野のイノベーションを妨げている結果も生んでいます。 最大の問題は年間45兆円を超える医療費の増加です。現在の日本の医療制度ではQOLの向上に貢献しない医療に高額な医療費が使われています。また、経験豊富な医師と新人医師が同様に扱われたり、重篤な患者と軽症の患者が先着順で診察されたりといった問題が発生しています。他にも日本では待ち時間や会計にかかる時間に多くの時間がかかっていますが、なかなか改善が進みません。 更に、日本では医療データが正確に記録されていないことも問題です。日本の医療現場では診察報酬を申請するために、本来の病名とは異なる病名をカルテに記載することが往々にしてあるのが現状です。医師が目的の薬を処方したい場合、特定の病名をカルテに記入しないと処方できないためです。これでは、カルテデータを元にしたビックデータで医療改革をしようにも、元になるデータが信頼できないことになってしまいます。

日本版リテールクリニックの実現に向けて

そこで、峯様は日本版リテールクリニックをスタートするために、日本の医療制度の制約を受けない自費診療を活用すことに決めました。しかし、自費医療ビジネスでは、一般的な3割負担の保険診療の医療機関は「7割引の競合店」となり、根本的なビジネスモデルの再構築による圧倒的なコストダウンをしない限り勝負になりません。 反対に、自費診療だから行える戦略として、例えば大企業がテナントに多い大規模オフィスビルに入居し、テナント企業の社員であれば「割引」をすることが可能になります。看護師など医療スタッフの人材確保に苦労している医者に対して、看護師や事務職員をクリニック側で提供し、あくまで医師は「医師にしかできないこと」に注力させることで時間単位の売上を最大化することも可能になります。 カフェを併設して患者の待ち時間に過ごしてもらったり、食品メーカーとタイアップしたサンプリング、最新医療技術のPoCにも積極的に参加できます。更には不動産証券化することで医療サービスへの投資をしやすくすることも視野に入れています。アメリカではすでにリテールクリニックの市場規模は1500億円を超えています。 織田 聡 様 既存の医療機関や健康保険制度とは別の自費医療とすることで、併存しながら新しいマーケットを生み、マーケットのパワーで日本の医療制度を変えていくのが峯様の取り組みです。現役の医師であり、アメリカで総合医療の最先端を学んでいる織田聡様もそのビジョンに共鳴し、日本版リテールクリニックの設立に尽力しています。DBICは引き続きこれからの日本を変えるおふたりを応援します。

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