【シンガポールレポート】Enabling Village 訪問

「Focus on Abilities」(能力に焦点を当てる)

Enabling Villageに足を踏み入れると、このメッセージが迎えてくれます。「何ができないか」ではなく「何ができるか」に焦点を当てる。障がい者支援に対する強いコンセプトが感じられます。 施設内の柱に描かれたメッセージ Enabling Villageはシンガポール政府の社会家族開発庁SG Enable社によって2015年に設立された障がい者支援施設です。様々な能力を持った人々が集まり、すべての人がありのままの姿で受け入れられる社会を作り出すことを目的としています。 タッチパネル式の案内版は色彩やコントラストの調整が可能 アート学校をリノベーションした緑豊かな敷地内には、障がい者向けの就業トレーニング施設を中心に、医療施設やスポーツジム、幼稚園、スーパーマーケット、イベントスペースなどが整備されており、誰でもアクセス可能になっています。 まるで植物園のような敷地内 またアシスティブテクノロジーと呼ばれる運動補助器具の研究や、ユニバーサルデザインの研究がされており、東南アジア最大の通信会社であるSingtelやメガバンクのUOB銀行などが出資しています。敷地内には健康器具なども設置され、施設周辺の住民が日常的に利用しています。 周辺住民も利用可能な商業トレーニングエリア 現在、DBICシンガポールイノベーションプログラムの参加者である住友生命保険相互会社の百田牧人さんが、障がい者の就業支援をテーマに活動されています。その活動の中でこのEnabling Villageに訪問されたことがきっかけで、今回のビジットが実現しました。 案内をしてくださったのはSG Enable社のChristopher Ng様とIvan Chin様です。Enabling Villageでは毎週金曜日の午前10時から30分間のガイドツアーが開催されており、お2人はこのツアーのガイド役であり、DBIC活動の良き理解者でもあります。 SG Enable社のChristopher Ng様 SG Enable社のIvan Chin様

「Disability by Environment」(環境による不自由)

施設内にはスーパーマーケットの「NTUC FairPrice」や大手銀行のATMが設置され、障がい者向けの店舗デザインの実証実験と、障がい者の就業トレーニングを兼ねた営業がされています。またレストランやクリーニングサービスなど、実際に営業をしながら障がい者のトレーニングを実施する施設が整っています。 スーパーマーケットは通常店舗より通路幅が広く、車いす専用カートなどが設置されています 銀行のATMには音声案内用のイヤホンジャックや後方確認ミラーが設置されています また施設内には自閉症の方々が集まる作業エリアがあります。自閉症の方々は細やかな作業に対する集中力が非常に高く、その能力を活かして、小さなビーズを組み合わせたアクセサリーなどが生産されています。これらの作品は施設内の売店や主要なデパートなどで購入することが可能です。 自閉症のアーティストによって描かれた壁画 Ivan様がおっしゃっていた「Disability by Environment」(環境による不自由)という言葉が印象的でした。出来るか出来ないかではなく、環境によって出来ることと出来ないことは変わる、という意味です。例えば私たちも日本語が通じない環境に行くと、伝えたいことが伝えきれずに不自由を感じることがあります。障がいが有るか無いかではなく、みんなが能力を発揮できる環境を作ること、その重要性を考えさせられました。

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